Martech.orgに興味深い記事が載っていたので紹介をしたい。

Martech.orgが主催しているMarTechConferenceでの発表内容に関する記事となっている。アメリカでは、コロナをきっかけにマーケティングテクノロジー(マーテック)の見直しが進んでいる。アメリカのトレンドから、日本におけるマーケティングテクノロジー活用の考え方について、考察してみたい。

 

 

企業は(マーケティングテクノロジー)のリプレースムードになっていると、Real Story Groupの創設者であるTony Byrne氏は、The MarTech Conferenceで述べています。パンデミック時の顧客行動の変化により、企業はエンゲージメントテクノロジーの改善と更新を余儀なくされたのです。

現在、マーケティング担当者は、スタック内のエンゲージメント層の下に目を向け、他の層を動かす基礎となるテクノロジーを評価し置き換えています

多くの企業が、私たちが「エンタープライズ・ファンデーション」と呼ぶサービスに投資しています」とバーンは言います。「これは、チャネルに依存しないシステムです。エンゲージメント・プラットフォームの下に位置し、よりオムニチャネルに近い体験を提供するのに役立ちます」。

 

どうやら、アメリカでは、コロナをきっかけにマーケティングテクノロジー(マーテック)の見直しが進んでいるようだ。理由は、今までもよりもデジタルとリアルのハイブリッドなマーケティング(いわゆるオムニチャネルマーケティング)を推し進める必要性が高まったからという事のようだ。

 

要するに、コロナで、今まで以上に、消費者の購買行動がデジタルチャネルに移る事になった。従来よりもEC利用率が高くなり、情報収集などをオンラインで行うのが当たり前になった。結果、これまでチャネル別に最適化されていたツールを見直す動きが出ている、というこういう事になる。

 

一般的に、マーケティングツールは、表現レイヤーに合わせて発展してきた。広告には広告配信システム、ウェブサイトにはCMS、メールにはメール配信ソフト、最近は、アプリを作ったり、会員サイトを作ったり、ECサイトを持つケースも増えている。そして、従来の営業や店舗の摂食店も管理しないといけない。

 

従来、企業が導入していたツールは、特定のエンゲージメント層(ウェブサイト、店舗、EC etc)との結び付きが強すぎて、真の意味で、オムニチャネルに対応できない。従って、オムニチャネル対応な形で、コンテンツ、データ、分析エンジン、自動化エンジン等の持ち方を見直し始めているという状況である。

 

最近、海外のトレンドに詳しいSuitrix Japanの岡田さんとお話をした時に、「コンポーザブル」というのがキーワードになっているという話を聞いた。最初お話を聞いた時は、ヘッドレスCMSなどもそうだが、コンポーザブルだとシステムのつなぎこみが出るので、デメリットもあるのでは?と思って聞いていた。しかし、今日紹介した記事で触れられているように、顧客の行動がオンライン化し、複数チャネルでの接触を前提にする時代では、コンポーザブル型で、表現系、タッチポイント系をシステムやデータレイヤーから切り離してシステムを持つことが必要なのだと理解をした。

 

コンポーザブル時代に、企業はマーケティングテクノロジーをどのように構築すればいいのか?

考え方としては、セールスフォースやAdobeなどの複数領域の機能をプロダクトスイートとして提供する会社のプラットフォームを利用し、彼らの製品の機能拡張に乗っかってビジネスを伸ばしていく作戦もあるし、コンポーザブルの考え方で、必要な機能を分離して持つ事で、フレキシブルさを確保するという考え方もある。どちらもメリット、デメリットがあり、どちらかが正解という事はない。

 

1点、この記事を読んで、個人的に気になったのは、このようなコンポーザブル型でシステムを組むのだとすると、発注側にもかなりテックの専門性が求められる事になる。最近、エンジニアの人材難、マーケティングを理解できるエンジニアとなると、ほぼ存在しないのでは?という日本の人材状況踏まえると、マーケティングとテクノロジーの両方を理解した外部パートナーを活用する必要性もありそうである。

 

 

また、元記事ではあまり触れられていないが、マーケティングオートメーションがリプレースシステムの最上位に上がっているのも興味深い。日本でも、最初に安価なMAでスタートした会社が、機能不足などでMAをリプレースする事例がちらほらと出ている。本来は、MAをリプレースすると、クッキーデータを引き継げないので、デメリットもあるのだが、閲覧データは「鮮度」が大事なので、ある程度は割り切った移行が可能なのかもしれない。個人的には、過去にMAツール Cloud CMOを開発してたこともあり、国産ベンダーに頑張って欲しい思いもあるが、海外の状況を踏まえると、外資系の機能が多いMAに移行する流れは、今後強まっていく可能性が高いと思っている。

 

今後MA選定する会社は、他社MAからのリプレース事例などをベンダーに教えてもらいながら、選定を進めていくのが良いだろう。

 

参考記事:

Why marketers are replacing foundational martech